小宮里鶴さま(@ouomi_k)(pixiv)より、「カルテット」に感想イラストをいただきました。ありがとうございます!
嵐の中、崖道を走る馬車。学院編の冒頭のシーンです。私もまさにこんな紫色の世界を空想して原稿を書いていました。
崖っぷちギリギリを走る馬車の危なっかしい様子と、その目的地である、雷光に照らされて浮かび上がるトルレッキオ学院の遠景が一画面に!
物語の幕開けにふさわしいワンシーンだなと納得すると同時に、自分、学院の建物を描写したっけ……? してなくない? すればよかったのに!? という反省点が自分の中で浮かび上がってきたりして、読者様が描いてくださった絵やコメントから学べることがとても多いです。今後もし原稿を手直しする機会があったら、ぜひ参考にさせてもらいたいと思います。
そして2枚目はシュレーです。(いただいた絵は3枚もあります!)
シュレーのこの、こっち向いてないのに目線はこっち見てるという、いわゆる流し目っぽい様子。彼の人懐っこいんだけど表面的にはそっけない感じが表れていて、あぁ〜シュレーだなという気持ちになりました。
第二幕の、模擬戦闘などをやっている頃のシュレーを描いてくださったので、主人公たちもまだお互いに、それほど打ち解けていない頃で、イルスやスィグルから見た時のシュレーはこういう、ちょっと遠いけどこっち見てるという距離感の相手だっただろうなと思いを致しました。
神殿の神官である自分と、山の部族の継承者になりたい自分との間で揺れている時でもあるので、これはいい絵だ……我が家の暖炉の上に飾っておきたい! と思いますが暖炉がありません。私の心の居間に飾っておく絵にしようと思います。ありがとうございます。
そしてさらに3枚目の絵は、ヘンリックです。
「湾岸の鍼治療師」は番外編で、本編・学院編とは全く関係の薄い作品になるので、読者様でもこれをお読みになった方は少ないのではないかと思います。
主人公イルス・フォルデスの父親であり海エルフの族長である、ヘンリック・ウェルンの普段の様子を書いた番外編なのです。昔の戦で受けた古傷が雨の日に痛むので、鍼治療するというだけの話なんですが、自分でもなんでこんな作品書いちゃったんだろうって謎なくらい、すみっこのほうの物語です。
でも、なぜかとても書きたくて書いたので、自分では気に入っている作品なのです。
雨の夜に窓から嵐の空気が部屋に吹き込んでくる感じとか、それに揺れる蝋燭の灯火とか、疲れてぐったりしてるヘンリックとかを書きたかったのですが。
趣味で書く独りよがりな小説でいいと言っても、あまりにも自己満足っぽいかと思いました。
でもweb小説では不思議とそういうのも読んでくださる読者様が少数ではありますが、いらっしゃいます。たまたま好みが合うとか何かで、気に入ってくださることもあるので、嬉しくて私もつい書いてしまうんです。
それがまさかご感想や、絵にしていただけるとは、びっくりです。こういうのは書いても誰にも伝わることなく独り言で終わる作品なんだなというのが通常ありますので。
小宮さんが描いてくださった絵の、風を孕んでなびいてるカーテンの様子や、降り込んでくる雨を気にせずぐったり寝てるヘンリックの姿など、「湾岸の鍼治療師」を書いていたときに自分の頭の中にあった情景だなと思って、webで何か書くと、それが誰かに伝わることもあるんだなという初心の驚きを、久しぶりに感じられました。
インターネットって不思議ですよね。自分が空想してこそこそ書いた小説を、UPしておくと誰かが読んでくださって、時には伝わることもあるのが、何よりの書く励みです。
今後も何か伝えられるよう願って、ちびちび自分なりに書きたいと思います。
小宮さんも、いつも拙作を読んでくださる他の皆様も、ありがとうございます。
冒頭の絵は、お恥ずかしながら、書かれていなかったものを描いていたのだとはじめて気付きました。イルスたちと階段の多い学院の廊下を歩きまわるうち、すっかり馴染んだその姿を、はじめに戻って序章のイメージに反映させていたようです。好きな作品は何度も読み返すため、そんなことがよくあります。浮世絵で何度も色を塗り重ねていくように、イメージが厚くなってゆくのも読書の楽しみのひとつだなあと思います。
シュレーはほんとに好きで、かといって、イルスもスィグルもシェルもほんとうに好きなので困ったことです。山の部族の紋章ひとつとっても、いくらでもイメージが湧くので、カルテットはイメージの宝庫で楽しいです。
番外編はときどきゾクっとする程好みを抉られる瞬間があるので恐ろしいです。それは本編でも同じですが、よりするどく抉られる気がします。
受け取った印象を、絵に転じて現してみて、そこにもまた似たような印象があってくれればなと願っているので、もし少しでも近いものを見ていただけたのならほんとうに嬉しいことです。
椎堂さまの作品は、言葉たちが心地よい文章になり、色鮮やかな映像になって脳内を流れる読書の面白味が、存分に味わえるすごいものです。そんな物語が、web上にあって、こんなに身近であるのに、知らずに済ましていた可能性があることを思うと、こわいような有り難いような気持ちになります。
最後になりましたが、不躾に送り付けた感想絵を、こんなに丁寧に見て、コメントをいただけるなんて、一読者として身に余る幸せです。ほんとうにありがとうございます。嬉しすぎてどうしていいかわかりません。ありがとうございます。
コメントをありがとうございます。学院の様子を空想していただけて嬉しいです。
私も自分が空想した架空の世界をうろうろしながら、この物語を書いていますので、読んでくださった方々も一緒に彷徨ってもらえたら何よりです。
とても古い作品ですので、特に宣伝活動もしておらす、広いネット上でたまたま見つけていただけたのも奇跡! と思います。
マイペースすぎる作品ですが、よかったら今後も見守ってやってください。